開基450周年記念事業の大工事。
その450年という重みに正直、はじめは手足が震えるほど怖かったです。
本当に自分でいいのか、自分に出来るのか?
でも、腹をくくりました。
私を信頼してくれている心縁寺の方々に喜んで欲しかったから。
何度も何度も寺町に足を運び、辺り一帯の塀を見ては
そこに使われている柱の材質、その寸法、軒の出、塗料、材木をどこで繋いでいるのか、どうやって繋いでいるのか、その礎石はどうなっているのか・・・。
この仕事をしている最中には何度も歴史の中を散歩しているかの様な錯覚にとらわれました。
数百年経っている石垣を壊したとき、石を積んだ職人の魂が眠っているようでした。
片側36m もう片側44mと長い塀の基礎は慎重にやってもらいました。
基礎屋さんに塀の基礎の天端の精度は+-1mmの範囲で収めてもらいました。
長い基礎の天端をその誤差でおさめるのは並大抵ではありませんでした。
そこに崩した石を1200の高さで再度積み上げてもらいました。
一つ一つ大きさも、重さも、形も違う石をトータル80m積むのは本当に気の遠くなるような
仕事でした。
塀の材料は秋田杉。
材木屋の社長も出あった事が無いというぐらいきれいな征目の材料が手に入りました。
それをシャチ栓継ぎでついで行きました。
瓦は震災の影響でたまたま九州から来ていた職人さんの手で葺かれました。
壁を漆喰で仕上げてもらい、壁が一気に引き締まりました。
職人さんが自分の仕事を終えるたびに満足げに眺めている光景を何度も目にしました。
途中からは間違いなくいい仕上がりになると確信がもてました。
この現場が
こうなりました。
幾ら見ていても見あきる事のないデザインだと言われ本当にうれしい限りです。
反対側から
そして昨日、お寺さんの行事に棟梁としてお呼ばれし感謝状を頂きました。
全く予期していなかった事でしたので、そのお心遣いが本当にうれしかったです。
設計と施工、現場管理をさせて頂きましたが、各業者さんのお力添えと的確なアドバイスが無ければここまでの仕上がりにはならなかったと思います。
この場を借りて深く感謝いたします。
仕事をして喜んで頂く。
私が目指すのはただこれだけです。
ですから、この感謝状は私の何よりの宝物です。
最後にこの若輩者の私を信頼して頂き、その責任を預けてくださった御住職・副住職をはじめとする心縁寺の皆様、檀家の皆様には心よりお礼申し上げます。
ありがとうございました。